フィールド調査の基本?ついに省庁へのインタビュー

研究
I LOVE NIA!

 研究センターに居候を始めてから2週間が経ちだいぶこちらの設備にも慣れてきた。そんなときに、教授から今度マニラに行くんだがついてくるかと誘われた。どうやらマニラでワークショップが開かれるらしい。ワークショップはフィリピノ語で開催されるため、ワークショップの間マニラにある省庁にでもインタビューに行ってきたらいいということだった。私は、フィリピンの農業についてフィールド調査をベースとした研究を行っているが、フィールドワークにおいて政府の統計情報や政策情報は調査する場所の特徴を把握する上で非常に重要である。教授も私の研究内容を理解した上で気を利かせてくれたらしく、ありがたい提案だった。1人で異国の省庁にインタビューに行くのは初めてなので少し不安だったが、なかなか機会もないだろうと思い覚悟を決めた。

出発の朝|フィリピンのセブンイレブン

 今回の遠征は日帰りでワークショップの開始が午前中だったので、朝4時30分に出発だった。大学のあるLos Banosからマニラの会場までは車で2時間30分ほどだ。朝ごはんはセブンイレブンの肉まんを買った。フィリピンでもセブンイレブンは至る所にある。しかも24時間営業だ。しかしクレジットカードが使えなかったり、店の中でミスタードーナツが売っていたり日本とは異なる部分も多い。肉まんについては、日本に比べて種類が多くセルフサービスになっていた。味の説明がフィリピノ語なので何味なのかはよくわからないが私が買ったやつにはカニカマが入っていた。待ち合わせの場所に着くと今週から来たインターン生もいた。彼らはワークショップのアシスタントとして参加するらしい。4時30分集合だったが8人全員時間ぴったりに集合した。日本だったら2人くらい遅刻していてもおかしくない時間帯である。フィリピンは日本に比べて全体的に朝が早いためみんな普段から早起きなのだろう。スーパーなども朝7時から営業しているし、大学の1限が朝の8時から始まることもあるようだ。

肉まんの販売機 セルフスタイル

初のインタビュー

 私は今回 NIA (National Irrigation Administration)という機関にインタビューさせてただくことにした。灌漑用水を管理している機関である。建物に入ると、警備員さんにIDを見せてくれと言われハッとした。そこでパスポートを家に忘れてきたことに気がついた。IDとはフィリピンの身分証のようなものでカジノなどに入るとき確認されることがある。外国人は基本的にパスポートを見せておけば問題ない。試しに学生証を渡してみると引換証を渡され、用事が終わったら取りに来るように言われた。あとでフィリピンメンバーに確認してみると、基本的に顔写真と名前が書いてある書類ならなんでも良いようだ。次の関門は、今回のインタビューを担当してくださる方と会うことだった。事前に連絡はしているものの、待ち合わせ場所とかは何も伝えられなかったためどこにいるのかは全くわからなかった。しかもNIAの建物は予想より大きく総合受付のようなものがあるのかも謎だった。とりあえずそこら辺にいる人に声をかけること3人目で担当者の上司を引き当てることができた。これはかなりラッキーだったと思う。こうしてやっとインタビューが始まったが、担当の人はとても親切だった。事前にリクエストしていた資料についてひとつずつ丁寧に説明してくださった上に、私のポンコツ英語による質問にも粘り強く答えてくれた。結果として、インタビューは思っていたよりも順調に進めることができた。フィリピンでも最近は様々な統計情報をネットからダウンロードすることができるが、ローカルなデータについては直接問い合わせが必要な場合も多い。このようなインタビューはどのようなデータを集計しているか、研究に利用できるか、といった点を把握するために非常に有意義で、フィールドで行う研究にとっては必要不可欠なプロセスである。

NIA 正面玄関

地獄の渋滞とアニメトーク

 夜ご飯は、Silog Tapaだった。コーンビーフご飯に目玉焼きを載せたもので、フィリピンでは朝食によく食べられる料理だ。コンビーフは濃いめの醤油味でご飯がすすむ。シンプルだけど美味しい。夜ご飯を食べている途中、背中に「烏野高校 排球部」と書かれたシャツを着ている女子大生が店に入ってきた。一緒に夜ご飯を食べていたインターン生にあれ何て読むか分かるか?と振ってみると「I love Hikyu!!!」と1人釣れた。ハイキュートークをずっと誰かにしたかったらしく、帰りの車では隣の席でずっとハイキューの話をしていた。好きなキャラは月島らしい。宮城県と東京都は高速バスで5時間くらいかかると言うと全国大会に向かうバスはそんなにかかっていたのかと謎に感動していた。フィリピンでも日本のアニメは大人気らしい。フィリピンにはアニメを放送するチャンネルが2チャンネルと7チャンネルと2つあるが、Netflixが普及するまでは地域によって2チャンネルしか映らない地域と7チャンネルしか映らない地域というのがあったらしい。そのためフィリピンでは、地域によって人気なアニメが異なるのだとか。2チャンネル圏ではポケモンやドラえもんが人気で7チャンネル圏ではナルトやドラゴンボールが人気らしい。マニラ近郊の渋滞のせいで、行きは2時間30分くらいでついたのだが帰りは4時間くらいかかった。しかし、隣の席で陽気にハイキューとアニメの話をしてくれるので飽きることはなかった。マニラの渋滞は珍しいものではなく、平日ならば基本的に毎日起こっているらしい。特に月曜日と金曜日がひどいと言っていた。もし観光でフィリピンに訪れる予定があり、高速バスなどを利用するときは夜を避けることをお勧めする。

Silog Tapa

コメント

タイトルとURLをコピーしました