今週の月曜日から新たなインターン生が8人くらいやってきたので研究室は変わらず賑やかである。先週のインターン生は高校生で期間も1週間だったので研究室見学の一貫なんだろうと思っていたが、今回は学部生が8人、期間も1ヶ月と本格的である。しかも学部生たちに学部を聞いてみるとそれぞれバラバラの専門分野だった。ただの研究室見学ではなさそうだと思い教授に今回のインターンはどういう企画なのか聞いてみると、なんと今まで自分がいたところはそもそも研究室ではなく研究センターであったことが発覚した。つまり、私が今まで研究室見学だと思っていたものは文字通りのインターンだったのである。また一緒に過ごしていたフィリピンメンバー達は学生ではなく有期雇用の研究者だった!学部卒と修士卒のメンバーしかいなかったため勝手に今も学生なのかと思い込んでいた。教授に詳しく話を聞くと、フィリピンの研究者のキャリアと日本の研究者のキャリアは大きく異なるもので興味深かったので少し紹介する。
日本の研究者のキャリア
日本で研究者を目指す場合、多くの場合博士課程の学位を取る必要がある。博士課程とは、大学で4年間勉強した後、大学院で5年間研究し論文を発表すると取得することができる。5年間とは最短のケースで人によってはもっと長くかかる人もいる。また大学院で2年間研究し修士の学位を取った後、社会人になってから働きながら研究を進め博士の学位を取る人もいる。このようにして博士課程を取った後研究機関の公募に応募し、研究者としてのキャリアをスタートさせるのが日本の一般的な流れである。
フィリピンの研究室のキャリア
フィリピンでは大学で4年間勉強した後、研究を続けたい人は大学院に進学するか有期雇用研究員として研究センターに就職するかの選択肢があるらしい。フィリピンの大学には無数の研究センターが存在し、ほとんどの教授は研究室とは別に研究センターの監督も行っているのだとか。研究室では、個人の研究を進めることに重点が置かれていおり生徒は大学に学費を払っているのに対して、研究センターでは政府とのプロジェクトや技術の普及が主な仕事であり大学から給料が支払われている点が大きな違いである。こうした研究センターでプロジェクトやインターンなどに関わることで、政府や大学、教授から感謝状を受け取ることができ、この感謝状をたくさん集めることで奨学金の申請などに通りやすくなるという仕組みになっているらしい。そのため、ストレートで博士課程まで進む人はほとんどいない。最初自己紹介で24歳だと言ったとき、博士課程なのに若すぎると驚かれた理由がわかった。研究センターでは有期雇用研究員という扱いなため、1つのプロジェクトが終わると雇用契約も終了する。日本で有期雇用研究員というと不安定の代名詞みたいなイメージだが、フィリピンでは若いうちに色々な分野の研究センターで経験を積めるということでそこまでブラックなイメージはないようだ。フィリピンではこうした下積みを経て博士課程を卒業し、研究員や教授への道を歩んでいく。教授は研究室の生徒の面倒に加えて、研究センターの進捗報告確認もあり土日も休みがないと言っており大変そうだった。
頼もしいインターン生たち
研究センターには、先週の金曜日にやった高校生インターン生のインターン修了パーティーのときのケーキやアイスクリームが大量に残っていた。ケーキはチョコレートケーキがホール半分。アイスは、チーズ、ウベ(紫芋)、ブコ&ウベ(ココナッツ&紫芋)、バニラがそれぞれ1リットルくらい。フィリピンメンバーは私にどんどん分けてくれるが、ケーキはバタークリームが好みではなくアイスもそんなにたくさんは食べれず困っていた。これが当分続くとしんどいなと思っていたが、インターン生8人が昼ごはんの後にも関わらず全てをペロッと平らげてしまった。すごい食欲だと感心していると、研究センターに宅配のピザが3枚届いた。このピザは何だと聞いてみるとフィリピンメンバーの1人の誕生日が明日だから頼んだんだと言われた。ちょっと意味わからなかったが、ピザは甘めのパン生地とベーコンの塩味がマッチしていて美味しかった。もちろんピザもペロッと平らげていた。インターン生に、この後夜ご飯を食べるのかと聞くともちろんだと返ってきた。さすが学部生だ。彼らがこのインターンに応募したのは、卒業のために必要だかららしい。意外と研究者志望の学生は少なく公務員などを目指していると言っていたので学部生にとっては、必修の課外授業といった認識なのかもしれない。
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