農家の家に訪問!洪水を回避する知恵

研究
高床式住居の外観

 東京は江戸時代から行われてきた治水工事によって川の流れをコントロールした結果、現在のような住みやすい街へと進化してきた。しかしこれはどこの国でも当たり前に行われていることではない。ダムや堤防の整備には多額の費用がかかり、フィリピンではこうした治水事業を行えないエリアが多数存在する。そのような状況の中、人々は洪水と共存できる生活体系を築いてきた。今回はそんな生活体系のシンボルとも言える高床式住居の紹介だ。

気になる内装は…

 今回は、調査に協力していただいている農家さんのお家にお邪魔させていただいた。いつもインタビューなどは家の外で行なっているが、今回は家の外が台風のせいで浸水していたので中に入れてもらえた。家は地上から3mくらいの高さにあり、コンクリートの柱の上に木製の平家がのっている。家の玄関には竹製の梯子がかかっており、これを登って家に入る。小学生の時に習った弥生時代の高床式倉庫を想起させるところがあり、タイムスリップしたような気持ちになった。中にはいると10畳ほどのリビングルームに通された。リビングには椅子やクローゼット以外の家具は置いておらず、広さの割にはゆとりのある空間が広がっていた。話を聞いてみると、リビングは家族の寝る場所にもなっているようだった。屋根はトタンでできていたが、壁や床には木や竹が使われていた。特に印象的だったのは床で、コンクリートの柱に括り付けられた木の枠の上に細長い竹が敷かれた構造になっていて隙間からは地上が見えた。最初は少し怖かったが、意外と頑丈でジャンプしてもビクともせず安定感があった。この家は材料費20万円で、お父さんが作ったものらしい。洪水の被害が深刻な場所であるため、家の建て替えなどはどうしているのだろうと疑問に思っていたが、ここら辺の人たちは基本的に自分たちで直すようだ。実際、台風3号の時は3mくらいの水が押し寄せ家の床が浸水したため何箇所かは直さなければならないと言っていた。このような過酷な環境で生活を続けるのは、地元への愛からなのか、抜け出せない貧困のせいなのかは定かではないが、逞しく生き続ける姿に脱帽した。

竹製の梯子
家の内装

コメント

タイトルとURLをコピーしました