12月になると、フィリピンでも気温は25度くらいまで下がり過ごしやすい日が増えてくる。街ゆく人の中には長袖を着ている人も現れ、季節の変化を少しは感じる。相変わらず日差しはクソ強いが…。そんな12月の一大イベントといえばクリスマスである。フィリピンではカトリックのイベントが休日となっており、市役所などは23日から休業していた。この期間は市場もチキンやプレゼント用のおもちゃをうる露店でいつもより賑わっていた。フィリピンでも日本と同じように、クリスマスにプレゼント渡す文化があるが、今回はひょんなことから見知らぬおばさんとプレゼント交換することになった話を紹介する。
マンゴーが市場にやってきた
12月、クリスマス以外で市場に起こった大きな変化といえばマンゴーが売り出され始めたことである。それに伴って、今まで粉ジュース屋だった店がマンゴーシェイク屋に変わったりしていた。日本でマンゴーというと国産のものであれば5000円/kgはする高級品だが、私が住んでいる村の市場では500円/kgで売られていた。大体マンゴーは3個で1kgくらいである。日本の相場と比べれば格安であるが、この500円/kgという価格は現地の他の果物と比べると突出して高い。例えばミカンやランブータンであれば100〜150円/kgが相場である。そのため私は最初この価格を見た時やはりマンゴーは高いんだなと感じた。そしてこの日の帰り道私はこの感覚があながち間違っていなかったことを思い知らされる。他の用事を済ませた後、マンゴーを味見がてら1kg買って帰路についた。帰り道、いつもの住宅街を歩いていると10人くらい子供たちが集まってきた。私の買い物袋を見てしきりに「Please mango !!」と言ってくる。いつもよりも積極的だったため、とりあえず私は「分けて食べろ」と言って2個渡してあげた。10人に2個で足りるわけがないと思ったが、1個は自分の味見ようにとっておきたかった。子供たちは「Thank you!!」と言いながら嬉しそうに去っていった。これまでもランブータンやランソネスを持って帰っているときにねだられたことはあったものの10人に一斉にねだられるということはなかった。大体2~3人がきて、他の子供はこちらに興味を示さず遊んでいるのである。もしかしたらマンゴーはここの農村でも高級品でなかなか食べられないものなのかもしれないなと思った。家に着いていざ買ったマンゴーを食べてみると絶品だった。こんなに美味しいマンゴーを毎日食べれるとは最高だ。その日からエコバックでマンゴーを買うのが私の習慣となった。
クリスマスの日
クリスマスの日いつものように市場でコメなどの食料を調達し、帰路についた。もちろんマンゴーも買った。エコバックだと中身がわからないため、中身はなんだと聞かれることはあっても中身をねだられることは少なくなった。無事カツアゲにも遭わず順調に家に着けるかと思ったとき、突然左の家から「アリガトッ」と話しかけられた。このおばさんはいつも僕が通り過ぎるたびに「アリガトッ」と声をかけてくる。いつものように「アリガトッ」と返して通過しようとしたが、「wait」と呼び止められた。おばさんの話を聞いてみると、今日はクリスマスだから私にそのバックの中に入っているマンゴーを1個くれということだった。なんでマンゴーが入っているのを知っているんだと聞いてみるとバッグの淵から黄色いのが見えていたという。これはしまった、と思ったが相手は子供ではなく大人なのでタダで渡すのではなく交渉してみることにした。マンゴーをあげるのはいいがクリスマスなんだから俺にもプレゼントをくれと言ってみた。すると、私は貧乏だからあなたにあげるものは何もない、あなたはお金持ちなんだからちょっとくらいくれと言ってきた。これはおねだりフィリピン人の常套句である。そこで、クリスマスのプレゼント交換は感謝の気持ちの交換であるはずだ。あなたもなんか私に渡さないとおかしいと言ってみた。これは前にこの村のクリスマスでは、もちろん親は子にクリスマスプレゼントを渡すが、子も親に小さなクリスマスプレゼント(感謝の手紙や似顔絵など)を渡すという話を聞いたからだ。するとおばさんも納得して家に戻り、新品のLand BankのTシャツをくれた。大体Tシャツは1枚120円くらいで売ってるため等価交換である。フィリピンは紫外線が強く、Tシャツを干しているとすぐ色褪せて悪くなってしまうので嬉しいプレゼントだった。おばさんにマンゴーを渡すと「アリガトッ」と言ってきたので、私も「アリガトッ」と返してその家を後にした。まさかフィリピンでプレゼント交換をすることになるとは思ってなかったので思いがけない出来事だった。
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